翠穂のしごと

きっかけは祖母が遺した多くの着物でした



ある時、着物地(裂)が、書の表具に使えることを知り、祖母の羽裏を、額作品に使用してみました。光沢ある絹地に、格調高い孔雀菊柄。

脳裏には唐代の整然とした楷書が浮かびました。おめでたい言葉を選んで作品を書きました、裂が手元にあるので、拙作がまだまだなことがよくわかります。羽裏の格調に釣り合うまで、たくさん書いた作品です。

以降、自分の着物残り布などで、作品を創りました。着物裂に伝統的な書を合わせると、和洋どちらの空間にも合うモダンな感覚の作品ができるのです。書の古典も、着物の裂も古典柄も多いですが、共通は「伝統」を内包していることです。古くからのものは、新しい。


古風な着物×古い伝統の書表現=新味な作品。

このマリアージュを

皆様にお届けいたします。




題材、何を書くのかのイメージは裂が教えてくれます。裂にふさわしい詩句、漢詩など納得のいくまで探します。

長年、伝統の書の古典を倣って、隷書、楷書、行書、草書の臨書(デッサン)をしています。古くから書の手本として、愛玩されてきた古典は言い換えれば伝統です。その古典を基に、飽きのこない表現を自負しております。。

裂と書のが溶け込むことを第一に考え、書だけがが主張することのないよう、着物の裂の品格を損なわない表現に徹しています。



裂に合わせた作品が出来上がったら、表具の形、細部のデザインです。着物のコーディネートと同じ感覚で、色を足したり引いたりしていきます。このディティールのこだわえりが作品の仕上がりを左右します。作品周りのわずかな細い装飾でも、着物の裂を使います。配色、分量など悩み抜きますが、同時に一番楽しい時間かもしれません。

その後、表具匠に託し、約一か月で作品の完成となります。